肩ボトックス注射とは

肩ボトックス注射とは、主に肩こりや肩の張りの原因となる筋肉(僧帽筋)にボツリヌストキシン製剤を注射し、筋肉の過度な緊張をやわらげる治療です。慢性的な肩こり・首こりに悩んでいる方だけでなく、肩の盛り上がりが気になる方が美容目的で検討されることもあります。
肩こりは、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、姿勢の乱れ、精神的な緊張など、さまざまな要因が重なって起こります。その中でも、僧帽筋が持続的に緊張している状態が続くと血流が低下し、こりや重だるさ、痛みとして自覚されやすくなります。肩ボトックス注射は、こうした筋肉の緊張そのものにアプローチする治療法の一つです。
使用されるボツリヌストキシン製剤について

肩ボトックス注射に用いられるのは、ボツリヌス菌が産生するたんぱく質を医療用に精製したボツリヌストキシン製剤です。眼科や神経内科、形成外科など幅広い分野で長年使用されてきた薬剤で、筋肉の過剰な収縮を一時的に抑える作用があります。
医療機関では、適応や安全性を考慮したうえで、厚生労働省の承認を受けた製剤や、それに準じた管理下で使用される製剤を選択します。使用量や注射部位は一人ひとり異なり、医師が診察を行ったうえで判断されます。
「筋肉の緊張をやわらげる治療」であること
肩ボトックス注射は、筋肉を「止める」治療ではなく、過剰に緊張している状態をやわらげることを目的とした治療です。そのため、日常生活に必要な肩の動きすべてが失われるわけではありません。ただし、効果の感じ方や適応には個人差があるため、事前の説明と理解が重要です。
肩ボトックス注射で期待できる効果

肩ボトックス注射は、美容目的・機能改善目的の両面から検討される治療です。ただし、効果の現れ方や程度には個人差があることを理解したうえで受けることが大切です。
肩こり・首こりの軽減
肩こりボトックスは、僧帽筋の過度な緊張をやわらげることで、肩や首周囲の重だるさ、張り感の軽減が期待される場合があります。筋肉がゆるむことで血流が改善し、こりの原因となる悪循環が緩和される可能性があります。
慢性的な肩こりに対しては、マッサージやストレッチだけでは十分な変化を感じにくい方もいます。そのような場合に、肩ボトックス注射が一つの選択肢として検討されることがあります。
肩の張り・盛り上がりの改善(僧帽筋)
僧帽筋が発達していると、首から肩にかけてのラインが盛り上がって見えることがあります。僧帽筋ボトックスでは、筋肉のボリューム感が緩和されることで、肩の張りの印象がやわらぐ可能性があります。
これは美容的な変化を目的として相談されるケースですが、見た目の変化についても個人差があり、必ずしもすべての方に同じ印象変化が生じるわけではありません。
姿勢や見た目の印象への影響
肩の緊張が和らぐことで、結果的に姿勢を意識しやすくなったと感じる方もいます。ただし、肩ボトックス注射自体が姿勢を矯正する治療ではありません。姿勢改善を目的とする場合は、生活習慣の見直しや運動療法と併用することが重要です。
肩ボトックス注射の仕組み
なぜ肩こりが和らぐのか
筋肉は、神経からの信号によって収縮と弛緩を繰り返しています。肩こりが強い状態では、この収縮が過剰に続いているケースが多く見られます。肩ボトックス注射では、神経から筋肉への信号伝達を一時的に弱めることで、筋肉が過剰に収縮し続ける状態を抑えると考えられています。
僧帽筋に注射する理由
僧帽筋は、首から肩、背中の上部にかけて広がる大きな筋肉で、肩こりの主な原因筋の一つです。この筋肉が緊張し続けると、痛みや重さを感じやすくなります。そのため、肩ボトックス注射では僧帽筋を中心に注射が行われます。
神経伝達と筋収縮の関係
神経と筋肉の間では、「神経伝達物質」と呼ばれる物質が情報を伝えています。ボツリヌストキシン製剤は、この伝達の一部を抑制することで、筋肉の収縮を穏やかにします。難しい仕組みですが、「力が入りすぎている状態を一時的にゆるめる」とイメージすると理解しやすいでしょう。
施術の流れ
Step1カウンセリング
まず医師が、肩こりの症状や生活習慣、既往歴を確認します。肩ボトックス注射が適しているかどうかを判断し、期待できる変化やリスクについて説明します。不安や疑問があれば、この段階で相談することが大切です。
Step2施術当日

施術は注射によって行われ、所要時間はおおむね10〜20分程度です。注射部位を確認し、必要に応じてマーキングを行ったうえで薬剤を注入します。多くの場合、入院や長期の安静は不要です。
Step3施術後の注意点

施術当日は、強いマッサージや激しい運動を控えるよう案内されることがあります。日常生活は基本的に当日から可能ですが、違和感がある場合は無理をせず、医師の指示に従ってください。
効果の持続期間と施術頻度
効果が現れるまでの目安
肩ボトックス注射の効果は、注射直後に現れるものではなく、数日〜1週間程度かけて徐々に感じられることが一般的です。
効果の持続期間
効果の持続期間はおおよそ3〜4か月程度とされることが多いですが、体質や使用量によって差があります。
繰り返し施術する場合の考え方
効果が薄れてきたタイミングで、再度施術を検討するケースもあります。ただし、施術頻度や継続の可否については、医師と相談しながら判断することが重要です。
副作用・リスクについて
肩ボトックス注射は比較的広く行われている治療ですが、医療行為である以上、一定のリスクがあります。
注射部位に一時的な痛み、内出血、違和感が出ることがあります。また、筋肉の力が弱まることで、だるさを感じる場合もあります。重篤な副作用は多くはありませんが、可能性がゼロとは言い切れないため、気になる症状がある場合は早めに医師へ相談することが大切です。
費用について
肩ボトックス(両肩)
| 単位数 | 費用(税込) |
|---|---|
| 50単位 | 25,000円 |
| 100単位 | 50,000円 |
肩ボトックス注射が向いている方・慎重な判断が必要な方
向いている方の特徴
- 慢性的な肩こりが続いている
- 僧帽筋の張りが強いと指摘されたことがある
- マッサージなどで十分な改善を感じにくい
慎重な判断が必要な方
妊娠中・授乳中の方、特定の神経・筋疾患がある方は、肩ボトックス注射が適さない場合があります。必ず事前に医師へ申告してください。
他の肩こり治療との違い
マッサージや整体、内服薬は、血流改善や痛みの緩和を目的とする治療です。一方、肩ボトックス注射は、筋肉の緊張そのものに作用する点が特徴です。どれか一つが優れているというよりも、症状や目的に応じて組み合わせて考える「補完的な治療選択肢」として位置づけられます。
よくある質問(Q&A)
肩ボトックス注射は痛いですか?
注射の際にチクッとした刺激を感じることがありますが、感じ方には個人差があります。
効果がない人もいますか?
体質や肩こりの原因によっては、十分な変化を感じにくい場合もあります。
美容目的で受けても問題ありませんか?
医師が適応を判断したうえで行われるものであれば、美容目的で相談される方もいます。
すぐに日常生活に戻れますか?
多くの場合、当日から通常の生活が可能です。
繰り返し受けても大丈夫ですか?
継続については医師と相談しながら判断します。
当院の肩ボトックス注射の考え方
肩ボトックス注射は、すべての肩こりに適した治療ではありません。当院では、医師が診察を行い、一人ひとりの症状や背景を確認したうえで適応を判断しています。
治療のメリットだけでなく、考えられるリスクや限界についても丁寧に説明し、納得したうえで検討いただくことを大切にしています。肩こりや肩の張りでお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。







