なぜ足の血管は浮き出るの？

下肢静脈は、下肢に流れてきた血液を心臓へと戻す役割を担っています。そして、その逆流防止弁が壊れたり、働きが低下することで下肢静脈に血液が溜まり、先述したような症状をきたします。

放置すると自然に治るのか？

下肢静脈瘤をそのままにして、自然に治ることは原則としてありません。放置するほど、症状が強く現れるようになったり、症状が増えたりするリスクが高くなります。
なお妊娠・出産に伴う女性ホルモンの変化を原因として起こった軽度の下肢静脈瘤については、ホルモンの状態が落ち着くにしたがって、自然に治ることがあります。ただしその場合も、何もせずに待つのではなく、運動療法などを取り入れながら治癒を目指すようにしましょう。

伏在静脈瘤

脚のもっとも太い「伏在静脈」で生じる静脈瘤です。大伏在静脈や小伏在静脈の2種類があります。
しばしば、ひどいボコボコとなります。

側枝静脈瘤

伏在静脈が枝分かれした先にある「側枝静脈瘤」で生じる静脈瘤です。
こちらも、ボコボコとして現れます。

網目状静脈瘤

青っぽい網目状に透けてみえるのが「網目状静脈瘤」です。細い静脈で生じます。

クモの巣状静脈瘤

濃い青～赤紫のクモの巣のように透けて見えます。網目状静脈瘤と同様に、細い静脈で生じます。

ドプラー検査

カラードプラー検査

超音波を血管に当てて、その血流をカラー画像で表示する検査です。血液の逆流、血管の内径、血流の速度などが分かります。

日帰り手術

高周波カテーテル治療

膝付近の血管からカテーテルを挿入し、高周波による加熱で静脈瘤を焼灼します。一般に、レーザーカテーテル治療より高い効果が期待できます。

詳しくはこちら

グルー治療

カテーテルを介して、医療用瞬間接着剤を静脈瘤へと注入し、血管を閉塞させます。カテーテル治療と同等の効果が期待できます。

詳しくはこちら

ストリッピング手術

弁不全が著しい症例に対してよく行われる治療です。脚の付け根に約２センチの切開を加え、大伏在静脈を切断します。その上で、膝の内側を約１センチ切開し、ストリッピングワイヤーを通します。最後に、ワイヤーを大伏在静脈と一緒に抜去します。根治性の高い治療です。

硬化療法

極細の針で静脈瘤に硬化剤を注入します。これにより静脈瘤の血管を固める治療です。その後、残った血管は、弾性ストッキングを着用して潰します。何度か繰り返す必要がありますが、切開など外科的な処置が必要ありません。
主に、網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤に対して行われます。

瘤切除術

皮膚を切開して、目に見える瘤を直接摘出する方法があります。血管内焼灼術やストリッピング術の単独でも治療効果は得られますが、目立つ瘤が残る可能性があります。残った瘤は時間とともに小さくなりますが、4-5mm以上の大きなものは残存することがあります。このような残った瘤や側枝型の静脈瘤が対象となります。

効果

瘤や静脈瘤を皮膚から取り除くため、外見上の瘤がなくなります。これにより、目立つ瘤や静脈瘤が取り除かれ、外観の改善が期待されます。

メリット・デメリット

メリット	デメリット
瘤の完全な除去 症状の軽減 再発の予防	手術に伴う合併症

弾性ストッキング

医療用の弾性ストッキングを着用する保存的治療です。血流の循環を促す特殊な構造になっています。
正しく使用することで、下肢静脈瘤の進行防止、予防が期待できます。

下肢静脈瘤の原因として、立ち仕事・デスクワーク、激しい運動、肥満、加齢、遺伝、妊娠・出産が挙げられるのは先述の通りです。加齢・遺伝・妊娠・出産など、避けようのないものも存在しますが、以下のような点に気をつけることで、下肢静脈瘤の発症リスクや再発リスクを下げることが可能です。

• 立ちっぱなし、座りっぱなしを避ける（休憩し身体を動かす）
• 弾性ストッキングを着用する
• ウォーキング、軽いジョギングなどを習慣化する
• 食生活では塩分の摂り過ぎに注意する
• 小まめに水分補給をする
• 下肢マッサージ
• 就寝時や横になる時に少しだけ足を高くする