下肢静脈瘤の日帰り手術

下肢静脈瘤の日帰り手術

治療にはカテーテル治療の学会や静脈学会、国際学会でも座長経験や多数発表を行っている医師が直接診察致しますので、安心してご来院下さい。

下肢静脈瘤の日帰り手術を実施しています

下肢静脈瘤の日帰り手術近年、下肢静脈瘤手術は、血管内治療が主流になってきました。当院でも、レーザーカテーテル治療や高周波カテーテル治療をはじめとする下肢静脈瘤の日帰り手術に対応しております。
手術の翌日には通常の生活に戻ったり、仕事に復帰したりすることが可能です。
特に、症状が強く現れている方、立ち仕事の多い方は、お早めの手術のご検討をおすすめします。迷っている方も、手術のメリット・デメリットを丁寧にご説明いたしますので、一度、ご相談ください。

当院で行う日帰り手術

高周波カテーテル治療(血管内焼灼術)

血液の逆流が見られる静脈内にファイバーを挿入し、電気メスなどにも使用される高周波を照射することで、静脈瘤を焼灼します。
超音波画像を見ながらファイバーを操作し、正確な焼灼を行います。基本的な手術法はレーザーカテーテル治療と同じですが、高周波カテーテル治療はそれと同等以上の効果が期待できます。また、術後の痛み・腫れ・皮下出血のリスクも少なくなります。
当院では困難な症例対しても血管造影装置を使用することも可能です。
またTLA麻酔を多く使用することにより、再発や術後の有害事象を極力減少するように努めています。

効果

高周波(ラジオ波)の照射により、静脈瘤を焼灼します。これにより、異常のある血管のみをなくします。

メリット・デメリット
メリット デメリット
  • 傷痕が目立たず、早く治る
  • ワーファリンなどの薬を服用中の方でも出血のリスクが少ない
  • ご高齢の方でも受けられる
  • 手術時間が短く、鎮静剤の量が抑えられる
  • レーザーカテーテル治療より高い効果が期待できる
  • 術後の痛み、腫れ、皮下出血のリスクが少ない
  • 焼灼した部位の皮膚に色素沈着が生じることがある(時間の経過とともに薄くなっていきます)
  • 神経障害が起こりえる(0.1%程度)
  • 術後1カ月程度弾性ストッキングの着用が必要

グルー治療(血管内塞栓術)

以前より欧米で普及し、近年になって日本国内でも保険診療として受けられるようになった治療です。 医療用瞬間接着剤をカテーテルで下肢静脈瘤のできた血管内に注入し、閉塞させます。

効果

以前からあった硬化剤を用いた治療とは異なり、再発率も低くなっています。レーザーカテーテル治療、高周波カテーテル治療と同等の効果が期待できます。

メリット・デメリット
メリット デメリット
  • 局所麻酔による治療が可能
  • 痛みがない
  • 熱を使わないため神経への影響や血栓症のリスクが低い
  • 手術後の弾性ストッキングの着用が不要
  • 蛇行の強い血管には不向き
  • アレルギー体質の方には不向き
  • 長期にわたり、薬剤が身体の中に残る
高周波(RFA)レーザーとグルー(ベナシール)の比較
メリット デメリット
高周波(RFA)レーザー ・グルー治療と比較し、やや安価
・体内に異物が残存しないので、長期的なアレルギーの心配がない
・術中に局所麻酔を行う回数がグルー治療と比較するとやや多い
・術後最低1カ月は弾性ストッキングの着用が必要
・少ない確率で神経障害が起こる可能性がある
グルー(ベナシール) ・術直後から弾性ストッキングの着用が不要
・基本的に神経障害が生じることはない
・穿通枝不全による治療も可能
・体内に異物として残存するため、アレルギーの可能性がある
・高周波治療と比較し、値段がやや高い
・色素沈着が起こる可能性がある

高周波治療/レーザー治療とグルー治療の比較です。
長期成績はいずれも5年間無再発率約95%程度と治療成績に差はありません。
グルー治療は術直後から弾性ストッキングの着用が不要という最大のメリットがあります。 高周波治療/レーザー治療は神経障害が起こる可能性が僅かながら生じる可能性がある一方、グルー治療はアレルギーが生じる可能性があり、どちらが優れた治療というわけではありません。
年齢や静脈の走行、逆流の位置などを正確に診察し、どちらがよりベストな治療なのか患者さんとご相談していきながら、提供したいと思います。 詳しくは医師にご相談ください。

ストリッピング手術

弁不全が著しい症例に対して、下肢静脈瘤の根本的治療として以前より行われてきた治療法です。
まず脚の付け根を約2センチ切開して大伏在静脈を切断します。次に膝の内側を約1センチ切開してストリッピングワイヤーを通し、脚の付け根までの大伏在静脈を抜去します。有害事象の観点から現在では高周波カテーテル治療やグルー治療が主な治療となっていますが、再発症例や蛇行が強いなど上記が難しいような症例では行うこともあります。

効果

弁不全を起こしている静脈を引き抜くため、再発率は非常に低くなります。

メリット・デメリット
メリット デメリット
  • 再発率が低い
  • 皮下出血、痛み、神経障害などの後遺症が残ることがある
  • 入院、下半身麻酔が必要になることがある

高位結紮術

静脈瘤が発生している静脈を、高い位置で縛る治療です。
単独で行うことは少なく、ストリッピング手術、硬化療法と併用するケースが多くなります。

効果

局所麻酔の上、皮膚に数か所、1~1.5cmの切開を加え、静脈を結紮、離断することで、血液の逆流を防ぎます。

メリット・デメリット
メリット デメリット
  • 身体への負担が少なく、傷口も目立たない
  • 術後の消毒、抜糸が不要
  • 単独での実施では効果が不十分になったり、再発リスクが高くなるおそれがある

硬化療法

網目状、クモの巣状の静脈瘤、あるいは術後の遺残静脈瘤に対して行うことの多い治療です。
極細の針で静脈瘤に硬化剤を注入し、静脈瘤の血管を固めます。さらに弾性ストッキングで圧迫することで、血管を潰します。
治療は10分ほどで終わりますが、何度か繰り返す必要があります。

効果

硬化剤の注入と弾性ストッキングの圧迫により、血流が停止した血管は少しずつ退化し、最後には消失します。

メリット・デメリット
メリット デメリット
  • 注射による治療であり切開が不要
  • 傷痕が残らない
  • 原則として麻酔も不要
  • 当日から通常の生活に戻れる
  • 他の治療法と比べると再発率が高い
  • 大きな静脈瘤には不向き
  • 色紙沈着、しこりが残ることがある(時間の経過とともに消失します)

瘤切除術

瘤切除術では、難治的な逆流している血管や目立つ瘤(側枝型静脈瘤)を効果的に取り除きます。この手法は「stab avulsion法」として知られており、切除する血管と周囲の組織との結合をTLA麻酔(低濃度膨潤麻酔)を使用してゆるめ、針穴程度の小さな創を作成して行います。
さらに、必要に応じて高周波カテーテル治療、ストリッピングなどの手術と併用することもあります。
これにより、より複雑な症例にも対応し、患者の状態を最適な方法で改善することができます。

効果

一部の瘤切除術では、瘤が完全に消失せずに残る場合があります。これらの残った瘤は、時間とともに小さくなることもありますが、4-5mm以上の大きなものは残る可能性があります。
特に、側枝型の静脈瘤やこのような残存瘤を対象として処理します。そのため、患者の状態や症状に応じて適切な治療を行い、患者様の健康を最大限に改善することを目指します。

メリット・デメリット
メリット デメリット
  • 異常な細胞や組織が取り除かれ、健康な組織の再生が促進されます。
  • 腫瘍が神経を圧迫している場合には、痛みの軽減が見込める
  • 当日から通常の生活に戻れる
  • 傷口がぽっこりすることがある(数か月で改善することがほとんど)
  • 大きな静脈瘤には不向き

下肢静脈瘤の日帰り手術の流れ

Step1初診・医師の診察

診察手術を受けるかどうか迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。
お電話かWEB予約にて、ご予約をお願いします。
下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医の院長が問診・診察を行います。

Step2検査

超音波検査超音波検査を行い、静脈の弁の状態、血流の状態、逆流の有無などを調べます。

Step3診断・治療方針の決定

診断・手術方針の決定診察・検査の結果をもとに、医師が診断します。
患者様と相談しながら、治療方針を決定いたします。
重症度に応じて治療内容や弾性ストッキングの指導などを行い、方針を決定します。弾性ストッキングのサイズ、はき方など指導させて頂きます。
手術を希望される場合には、その手術の内容を詳しくご説明いたします。また患者様のスケジュールを考慮しながら、手術日を決定します。

Step4手術

下肢静脈瘤手術手術を行います。
ご希望に応じて局所麻酔に静脈麻酔を併用することも可能です。この場合は、半分眠っているような状態で、恐怖や不安をほとんど感じないまま手術を受けられます。

Step5翌日の診察・定期的な検査

翌日の診察・定期的な検査翌日、1週間後、1カ月後、3カ月後を目途に来院頂き、術後の状態や再発などを丁寧に診察します。
その後は問題なければ、終診となりますが、気になる症状などあれば、診察やオンライン診療で対応します。

症例

79歳女性

数十年前からぼこぼこした血管や下肢のむくみ、だるさ、指先の冷たさ、こむら返りの症状を認め、当院を受診頂きました。
超音波で左大伏在静脈の拡張及び逆流を認めたため、左大伏在静脈の下肢静脈瘤に対し、グルー治療による血管内塞栓術を施行。
術中は局所麻酔のみで、痛みはほとんど感じなかったとのこと。また手術時間は17分。
施行1週間後ほどから症状の改善を自覚され、快適に生活されているとのこと。
現在も術後経過観察中であるが、有害事象などはない。

治療前写真 治療後写真
側枝型静脈瘤が散見され、下腿浮腫を認める。 側枝型静脈瘤も消失し、下腿浮腫も改善を認める。

下肢静脈瘤の日帰り手術費用(保険適用)

メニュー 1割負担の場合 3割負担の場合
初診(エコー検査含む) 約980円 約2,900円
高周波カテーテル治療(片足) 約14,000円 約43,000円
グルー治療(片足) 約16,000円 約47,000円
グルー治療(両足) 約18,000円 約98,000円
硬化療法 約4,600円 約14,000円
瘤切除術 約5,500円 約16,500円

・標準的な治療を実施した場合の費用の目安です。使用する薬剤などにより、多少の前後が生じることがあります。
・短期滞在手術等基本料が含まれます。

メニュー 費用
弾性ソックス 3,300円~3,850円

※弾性ソックス・ストッキングはご購入となります。
※ストッキングおよびパンストの場合は料金が上がります。

高額療養費制度について

高額療養費制度を利用し、事前に取得された限度額適用認定証をご提示いただければ、窓口でのお支払いが少なくて済むことがあります。
所得区分によって自己負担限度額が異なりますので、詳しくは厚生労働省のホームページをご覧いただくか、当院にお問合せください。

医療保険に加入されている方へ

医療保険・生命保険の種類によっては、高周波カテーテル治療について手術給付金が支給されます。
ご加入されている保険会社様にご確認されることをおすすめします。

下肢静脈瘤手術前後の過ごし方・注意事項

食事について

下肢静脈瘤手術後の食事

  • 手術前日までは、特に食事制限はありません。
  • 手術当日は、手術開始より6時間前から絶食となります(ゼリー状の食べ物、ヨーグルトなどを含む)。ただし、水やお茶などの水分は、手術直前まで摂っていただいて構いません。
  • 手術後、特に食事制限はありません。

飲酒について

  • 手術前日は、たしなむ程度でしたら飲酒も問題ありません。
  • 手術当日、手術翌日は禁酒をしてください。炎症、内出血、痛みの悪化の原因になります。
  • 1週間程度は、飲み過ぎを控えてください。血行が良くなり、痛みが強くなることがあります。

入浴について

  • 手術当日から、シャワーは可能です。
  • 手術翌日から、入浴(湯船に浸かる)が可能です。
    ※ストリッピング手術を受けた方については、シャワーの再開を翌日からとします。

運動について

  • 手術前日まで、特に運動制限はありません。
  • 手術で静脈麻酔を併用した場合は、手術当日の運動・運転ができません。ご自宅で、できる限り安静にしてください。
  • 手術翌日からは、基本的に適度な運動が推奨されます。デスクワークの方は、仕事の再開が可能です。時々歩いたりストレッチをするなどしてください。
  • 激しい運動、身体を酷使する労働などは、術後1週間ほどお控えください。
  • 当日から入浴以外の日常生活は問題ありません。

旅行について

下肢静脈瘤手術後の旅行

  • 稀ではありますがエコノミークラス症候群が起こりうること、万が一のトラブルの際に迅速な治療が難しくなることから、術後1週間ほどは遠出をお控えください。
    出張も同様です。
  • 手術日を決定する際には、特に上記のようなスケジュールのご確認をお願いします。

手術後の合併症について

内出血

高周波で焼灼した血管のまわりで内出血が生じます。ぶつけたときなどにできる“青アザ”と同じものですので、数週間で自然に消失します。

色素沈着

主にグルー治療の際生じます。

アレルギー

主にグルー治療で生じます。主成分であるNBCA(n-butyl-2-cyanoacrylate)が体内に異物として残存するため、アレルギー反応を起こすことがあります。
ご帰宅の際に内服薬をお渡しいたします。1週間程度で改善が見込まれます。 長引く場合医師にご相談ください

痛みや違和感

手術後、痛みが出ることがあります。ただ、処方する痛み止めを服用していただければ、日常生活に支障が出ることはまずありません。

静脈血栓症

血管手術後は、EHITと呼ばれる表在静脈と深部静脈の合流部に血栓が生じる事があります。1カ月ほど血が固まりやすい状態が続きます。つまり、血栓のリスクが高くなります。稀に、エコノミークラス症候群を起こすことがありますので、長時間座っている・脚を動かさないという状態は避けてください。エコノミークラス症候群を放っておくと、肺塞栓症を合併することもあるので、超音波での血栓の有無の確認が重要となります。
血栓およびエコノミークラス症候群の予防には、ウォーキングやストレッチなどで脚を動かすこと、弾性ストッキングを着用すること、小まめに水分を摂取することが大切になります。

しこり

瘤切除した場合生じる事があります。
3カ月程度で自然に消失します。

学会発表・講演など

2019年アルゼンチンで開催された国際静脈学会にて

2019年日本IVR総会で優秀演題に選出

TOPへ戻る