コラム

2025.07.08

静脈瘤手術の費用相場~2025年最新版・治療法別比較

静脈瘤手術の費用相場とは?保険適用で安心の治療を

足のむくみや痛み、だるさに悩まされていませんか?足の血管がボコボコと浮き出ている場合、それは下肢静脈瘤かもしれません。静脈瘤は放置すると徐々に症状が悪化するため、早めの治療が重要です。

近年では、日帰りで受けられる低侵襲な手術が一般的になっており、患者さんの身体的・経済的負担も軽減されています。しかし、多くの方が「治療費がどのくらいかかるのか」「保険は使えるのか」といった疑問や不安を抱えているのも事実です。

この記事では、2025年5月時点での最新情報をもとに、静脈瘤手術の費用相場を治療法別に詳しく解説します。保険適用の条件や自己負担額、さらには医療費控除や保険給付金まで、安心して治療を受けるために必要な知識をまとめました。

 

下肢静脈瘤とは?症状と治療が必要な理由

下肢静脈瘤は、足の静脈内の逆流防止弁が壊れることで、血液が下方へ逆流し、血管が膨張・蛇行する病気です。代表的な症状には、足のむくみ、だるさ、重さ、痛み、かゆみ、夜間のこむら返りなどがあります。

放置すると皮膚の色素沈着や湿疹、さらには潰瘍といった合併症を引き起こすこともあり、QOL(生活の質)を大きく損なう原因になります。

下肢静脈瘤は中高年女性を中心に多く、長時間の立ち仕事、妊娠・出産、遺伝などがリスク因子とされています。

主な治療法と特徴(保存療法と手術療法)

弾性ストッキング(保存療法)

初期段階では、医療用弾性ストッキングによる圧迫療法が選択されます。静脈瘤そのものを治すものではありませんが、症状緩和や進行予防には有効です。医療用でも保険適用外で、費用は3,750円~7,700円程度。

血管内焼灼術(レーザー・高周波)

カテーテルを使い、静脈内からレーザーや高周波を照射して内側から血管を閉塞する方法。小さな傷で済み、回復も早く、現在の主流です。

血管内塞栓術(グルー治療)

2019年~日本で保険適応となった最新の治療で、医療用接着剤を注入して静脈を閉塞します。熱や麻酔液が少なく術中の痛みも血管内焼灼術と比較し、少なくなっています。使わないため痛みが少なく、術後の弾性ストッキングも不要なケースが多く、術後弾性ストッキングを着用できない方や早期に職場復帰希望される方、術中の負担を少なくしたい方、穿通枝不全がある方が最も良い適応です。いずれもメリットがあり、1人ひとりに合わせた治療が大切なので担当医に相談してみてください。

硬化療法

硬化剤を注射し、静脈を閉塞させる方法。小さな静脈瘤や術後の残存瘤に用いられます。費用が安価で負担も軽いのが特徴です。

ストリッピング手術

静脈を物理的に引き抜く方法で、以前は主流でしたが、現在は焼灼術や塞栓術に置き換わりつつあります。

治療法別 費用相場(保険適用時/2025年)

治療法

保険点数

自己負担(3割)

実費目安

備考

血管内焼灼術

約10,200点

約30,600円

40,000円前後

両足なら約1.5〜2倍

血管内塞栓術

約14,360点

約40,380円

約50,000円前後

弾性ストッキング不要

硬化療法

約1,720点

約5,160円

6,000円前後

小静脈瘤や蜘蛛の巣血管向け

※別途、初診料・検査料(約2,000〜3,000円)が加わります。

治療費に影響する要素

  • 片足か両足か:両足の場合は片足の約1.5~2倍

  • 静脈瘤の本数や状態:範囲が広いと薬剤量が増加

  • 麻酔や検査内容:体格によって薬剤量が増加

  • 弾性ストッキングの有無:3,750~7,700円(保険外)

保険適用条件と負担割合別費用の目安

保険適用の条件

以下の症状がある場合、保険適用になります:

  • 足のだるさ・むくみ・痛み

  • 夜間のこむら返り

  • 皮膚の変色や湿疹、潰瘍

負担割合別費用目安(片足)

負担割合

血管内焼灼術

血管内塞栓術

硬化療法

1割

約13,000円

約18,000円

約3,200円

2割

約18,000円

約18,000円

約6,500円

3割

約40,000円

約50,000円

約9,800円

高額療養費制度と医療費控除の活用

高額療養費制度により、自己負担が一定額を超えると払い戻しが受けられます。月18,000円程度が一般的な目安(収入により変動)。

また、医療費控除では弾性ストッキング、通院費も含めて控除対象に。確定申告で数万円の還付を受けられる場合があります。

民間保険の給付金も確認

多くの医療保険では、下肢静脈瘤の手術に給付金が支払われる可能性があります。事前に保険会社へ確認を。

医療機関選びのポイント

  • 専門医の在籍IVR専門医、心臓血管外科専門医、脈管専門医などを有しなおかつ下肢静脈瘤の血管内指導医を保有しているか
  • 治療実績:症例数が多い施設は安心感あり
  • 複数治療法の選択肢:患者に最適な方法が選べる
  • アクセス:術前検査・術後通院を考慮

まとめ:早めの相談で安心の治療を

静脈瘤は放置すると進行し、症状が悪化します。現在の治療は、保険適用で費用負担も軽減され、日帰りで安全に受けられるものが主流です。

不安がある方は、医療費控除・保険給付・高額療養費制度も含めた費用全体を確認し、まずは専門医に相談することをおすすめします。

【専門医による診療のご案内】

西梅田静脈瘤・痛みのクリニックでは、下肢静脈瘤の専門医によるエコー検査と日帰り治療に対応。費用や治療法についてのご相談もお気軽にどうぞ。

▶︎ [クリニック詳細はこちら]

【著者】

西梅田 静脈瘤・痛みのクリニック 院長 小田 晃義

【略歴】

現在は大阪・西梅田にて「西梅田 静脈瘤・痛みのクリニック」の院長を務める。

下肢静脈瘤の日帰りレーザー手術・グルー治療(血管内塞栓術)・カテーテル治療、再発予防指導を得意とし、

患者様一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイド医療を提供している。

早期診断・早期治療”を軸に、「足のだるさ・むくみ・痛み」の原因を根本から改善することを目的とした診療方針を掲げ、静脈瘤だけでなく神経障害性疼痛・慢性腰痛・坐骨神経痛にも対応している。

【所属学会・資格】

日本医学放射線学会読影専門医、認定医

日本IVR学会専門医

日本脈管学会専門医

下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医、実施医

マンモグラフィー読影認定医

本記事は、日々の臨床現場での経験と、医学的根拠に基づいた情報をもとに監修・執筆しています。

インターネットには誤解を招く情報も多くありますが、当院では医学的エビデンスに基づいた正確で信頼性のある情報提供を重視しています。

特に下肢静脈瘤や慢性疼痛は、自己判断では悪化を招くケースも多いため、正しい知識を広く伝えることを使命と考えています。