
「夜になると足がかゆくて眠れない」「かゆみ止めを塗っても効果がない」――こんなお悩みを抱えていませんか?
実は、夜間に悪化する足のかゆみの背景には、下肢静脈瘤が隠れているケースが少なくありません。単なる皮膚トラブルと思い込んで放置すると、症状はさらに進行してしまいます。
IVR専門医として長年、下肢静脈瘤の診療に携わってきた経験から、夜間にかゆみが強くなる理由と、今日から実践できる対処法をお伝えします。
足のかゆみは、体からの重要なサインです。適切な知識を持って、早めに対処することが大切です。
なぜ下肢静脈瘤でかゆみが起こるのか
下肢静脈瘤は、足の静脈にある逆流防止弁が壊れることで発生します。
本来、心臓へ戻るはずの血液が逆流し、足に滞ってしまう状態です。この血液のうっ滞が、かゆみを引き起こす主な原因となります。
血液循環の悪化が皮膚に与える影響
血流が滞ると、皮膚に十分な栄養や酸素が届かなくなります。その結果、以下のような変化が起こります。
- 栄養不足・・・皮膚が乾燥し、バリア機能が低下します
- 炎症反応・・・滞留した血液が皮膚に炎症を引き起こします
- 内出血・・・毛細血管の圧力が高まり、繰り返し内出血が起こります
これらの変化が複合的に作用し、「うっ滞性皮膚炎」と呼ばれる状態に進行します。
うっ滞性皮膚炎の特徴
うっ滞性皮膚炎は、下肢静脈瘤が進行した際に現れる皮膚の炎症状態です。
一般的なかゆみ止めでは効果が得られにくいのが最大の特徴です。なぜなら、原因が皮膚表面ではなく、血管の血流障害にあるためです。
また、繰り返される内出血により、皮膚が茶色や黒っぽく変色します。この色素沈着は、下肢静脈瘤を治療しても完全には消えないことが多いため、早期の対処が重要です。
夜間にかゆみがひどくなる3つの理由
「日中は我慢できるのに、夜になるとかゆみが強くなる」――これには明確な理由があります。
理由①:横になることで血流分布が変化する
立っている時は重力の影響で血液が足に溜まりやすい状態です。しかし、横になると血流分布が変わります。
足に溜まっていた血液が全身に再分配される過程で、皮膚への刺激が増し、かゆみが強くなります。特に、長時間立ち仕事をされた日の夜は、この変化が顕著に現れます。

理由②:体温上昇による血管拡張
就寝時、布団に入ると体温が上がります。体温上昇により血管が拡張し、うっ滞していた血液がさらに皮膚を刺激します。
入浴後にかゆみが強くなるのも、同じメカニズムです。温まることで血管が広がり、一時的にかゆみが増すことがあります。
理由③:副交感神経の優位化
夜間はリラックス状態を司る副交感神経が優位になります。
副交感神経が優位になると、かゆみを感じやすくなる傾向があります。また、日中は仕事や活動に意識が向いているため気づきにくいかゆみも、夜の静かな環境では敏感に感じ取ってしまいます。
今すぐできる夜間のかゆみ対処法
夜のかゆみを軽減するために、今日から実践できる方法をご紹介します。
対処法①:足を高くして寝る
就寝時、足元にクッションや枕を置いて、足を心臓より高い位置に保ちましょう。
血液の戻りが改善され、うっ滞が軽減されます。高さは10〜15cm程度で十分です。高すぎると逆に不快感が出るため、無理のない範囲で調整してください。
対処法②:就寝前の軽いストレッチ
ふくらはぎの筋肉を動かすことで、血液循環が促進されます。
仰向けに寝た状態で、足首をゆっくり上下に動かす運動が効果的です。10回程度を2〜3セット行うだけで、血流改善が期待できます。
対処法③:適切な保湿ケア
入浴後、皮膚が柔らかいうちに保湿クリームを塗りましょう。
ただし、かゆみの根本原因は血流障害にあるため、保湿だけでは完全には解決しません。あくまで補助的な対策として取り入れてください。
対処法④:弾性ストッキングの活用
医療用の弾性ストッキングは、日中の血液うっ滞を軽減し、夜間のかゆみ予防にもつながります。
ドラッグストアでも購入できますが、適切な圧力のものを選ぶことが重要です。当院では、患者さんの状態に合わせた弾性ストッキングの指導も行っています。
避けるべきNG行動
かゆみが強いと、つい行ってしまう行動があります。しかし、以下の行動は症状を悪化させる可能性があります。
NG行動①:強く掻きむしる
かゆみを我慢できず掻いてしまうと、皮膚に傷ができます。
傷から細菌が入り、感染症を起こすリスクがあります。さらに、掻き壊した部分が治りにくく、潰瘍に進行することもあります。どうしても我慢できない時は、冷やしたタオルで患部を冷却してください。
NG行動②:熱いお湯での入浴
熱いお湯は一時的にかゆみを和らげますが、その後かゆみが強く戻ってきます。
38〜40度程度のぬるめのお湯で、短時間の入浴を心がけましょう。長風呂も皮膚の乾燥を招くため、避けた方が良いでしょう。
NG行動③:石鹸でのゴシゴシ洗い
足を石鹸で強く洗うと、皮膚表面の油分が過度に失われます。
お湯をかけながら、手で優しくなでるように洗うだけで十分です。特に、ふくらはぎやすねは洗いすぎに注意してください。
受診を検討すべきサイン
以下のような症状がある場合は、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。

- 3ヶ月以上かゆみが続いている
- かゆみ止めを塗っても改善しない
- 皮膚の変色(茶色や黒っぽい色)が目立ってきた
- 湿疹やただれが治らない
- 足の血管が浮き出て見える
- 夜間のこむら返りが増えた
これらは、下肢静脈瘤が進行しているサインです。
特に、皮膚の色素沈着や潰瘍は、一度できると治りにくいため、早期の治療介入が重要です。
超音波検査で原因を特定
当院では、超音波検査(エコー検査)で静脈の弁不全や逆流を丁寧に評価します。
検査は痛みもなく、10〜15分程度で終わります。原因となっている静脈を正確に特定することで、最適な治療方針を立てることができます。
足のむくみが強い方は、血管のふくらみが隠れて見えないこともあります。見た目に変化がなくても、かゆみやだるさが続く場合は、一度検査を受けることをおすすめします。
西梅田静脈瘤・痛みのクリニックでの治療
当院は、下肢静脈瘤に特化したIVR専門クリニックです。
院長である私自らが、診察から治療、術後ケアまで一貫して担当しています。患者さんの解剖学的特徴と重症度に合わせて、最適な治療法をご提案します。
多彩な日帰り治療
当院では、以下のような治療を日帰りで行っています。
- 血管内焼灼術(高周波/レーザー)・・・皮膚切開が最小限で、術後の痛みや皮下出血が少ない治療法です
- グルー治療・・・医療用接着剤で静脈を閉塞させる方法で、焼灼が難しい症例にも対応できます
- 硬化療法・・・クモの巣状や網目状など、表在の目立つ静脈瘤に有効です
- 瘤切除・結紮・・・形態改善や再発抑制を目的に、症例に応じて併用します
治療後は、弾性ストッキングの指導や生活アドバイスを通じて、再発リスクに配慮したケアを行います。
アクセスと診療時間
当院は、JR大阪駅・阪神福島駅・大阪メトロ西梅田駅から徒歩圏内の好立地にあります。
診療時間は、平日9:00〜13:00、14:00〜18:00、土曜は午前のみ診療しています。24時間Web予約にも対応していますので、お忙しい方もご都合に合わせて受診いただけます。
住所は、大阪市北区梅田3-4-5 毎日インテシオ2Fです。
まとめ:早めの対処が生活の質を守ります
夜間に悪化する足のかゆみは、下肢静脈瘤のサインかもしれません。
横になることで血流分布が変化すること、体温上昇による血管拡張、副交感神経の優位化――これらの要因が重なり、夜間にかゆみが強くなります。
今日からできる対処法として、足を高くして寝る、就寝前の軽いストレッチ、適切な保湿ケア、弾性ストッキングの活用をお伝えしました。一方で、強く掻きむしる、熱いお湯での入浴、石鹸でのゴシゴシ洗いは避けましょう。
3ヶ月以上かゆみが続く、かゆみ止めが効かない、皮膚の変色が目立つといった症状がある場合は、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。
下肢静脈瘤は、適切な治療で改善可能な病気です。
「もう年だから」「仕方ない」と諦めず、足の健康を取り戻しましょう。当院では、IVR専門医として、患者さん一人ひとりに最適な治療をご提案します。
足のかゆみでお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。明日からの生活が、もっと快適になるよう、全力でサポートいたします。
【著者】
西梅田 静脈瘤・痛みのクリニック 院長 小田 晃義
【略歴】
現在は大阪・西梅田にて「西梅田 静脈瘤・痛みのクリニック」の院長を務める。
下肢静脈瘤の日帰りレーザー手術・グルー治療(血管内塞栓術)・カテーテル治療、再発予防指導を得意とし、
患者様一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイド医療を提供している。
早期診断・早期治療”を軸に、「足のだるさ・むくみ・痛み」の原因を根本から改善することを目的とした診療方針を掲げ、静脈瘤だけでなく神経障害性疼痛・慢性腰痛・坐骨神経痛にも対応している。
【所属学会・資格】
日本医学放射線学会読影専門医、認定医
日本IVR学会専門医
日本脈管学会専門医
下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医、実施医
マンモグラフィー読影認定医
本記事は、日々の臨床現場での経験と、医学的根拠に基づいた情報をもとに監修・執筆しています。
インターネットには誤解を招く情報も多くありますが、当院では医学的エビデンスに基づいた正確で信頼性のある情報提供を重視しています。
特に下肢静脈瘤や慢性疼痛は、自己判断では悪化を招くケースも多いため、正しい知識を広く伝えることを使命と考えています。

