コラム

2025.11.21

下肢静脈瘤はなぜ痛い?専門医が教える5つの原因と放置の危険性

足の血管が浮き出てボコボコしている・・・。

夕方になると足が重だるくて、痛みまで感じることがある・・・。

こうした症状でお悩みの方は、下肢静脈瘤による痛みかもしれません。

下肢静脈瘤は、足の静脈の逆流防止弁が壊れることで血液が逆流・うっ滞し、静脈が拡張してコブ状になる病気です。見た目の問題だけでなく、だるさ・むくみ・痛み・こむら返りなど、日常生活に支障をきたす症状が現れます。

この記事では、IVR専門医として多くの下肢静脈瘤患者さんを診てきた経験から、**なぜ下肢静脈瘤で痛みが生じるのか**、その5つの原因と放置した場合のリスクについて詳しく解説します。

下肢静脈瘤で痛みが生じる5つの原因

下肢静脈瘤による痛みには、いくつかの種類があります。

それぞれの痛みには明確な原因があり、症状の進行度によっても変化します。

1. 重苦しい痛み~血液のうっ滞による圧迫感

下肢静脈瘤の初期段階でよく見られるのが、足全体が重だるく感じる痛みです。

これは、静脈の逆流防止弁が壊れたことで血液が足に溜まり、静脈内の圧力が高くなることが原因です。本来心臓へ戻るはずの血液が逆流してうっ滞するため、足の内部から過度に圧迫されるような感覚が生じます。

特に長時間の立ち仕事や座りっぱなしの生活習慣がある方は、夕方になるとこの症状が強くなる傾向があります。

2. ひりひりする痛み~神経刺激による症状

静脈瘤が進行すると、時折ひりひりするような痛みが現れることがあります。

これは、静脈の拡張や血流の乱れによって周囲の知覚神経が刺激されることで生じます。特に夜間や安静時に痛みを感じやすく、睡眠の質を低下させる原因にもなります。

この段階になると、単なる重だるさから一歩進んだ症状として注意が必要です。

3. 痒みと痛みの組み合わせ~皮膚炎の兆候

長年の下肢静脈瘤によって足のむくみや皮膚の乾燥が生じると、痛みと痒みが同時に現れることがあります。

血液循環が悪くなることで皮膚に十分な栄養が届かず、皮膚炎や湿疹が発生しやすくなります。痒みのために掻いてしまうと、さらに皮膚が傷つき痛みが増すという悪循環に陥ることもあります。

この状態は、下肢静脈瘤がかなり進行しているサインです。

4. 血栓性静脈炎による強い痛み

静脈瘤の中に血栓(血の塊)ができて炎症を起こす状態を**血栓性静脈炎**と呼びます。

この場合、強い痛みとともに、患部が赤く腫れたり熱感を持ったりします。血栓ができると静脈瘤がさらに硬くなり、触ると痛みが増すのが特徴です。

ただし、下肢静脈瘤で生じる血栓は表在静脈にできるため、脳梗塞や心筋梗塞の直接的な原因になることはまれです。血栓が肺に飛ぶ可能性も低いとされています。

5. こむら返り(足のつり)による痛み

明け方や夜間に突然足がつる「こむら返り」も、下肢静脈瘤の代表的な症状の一つです。

血液のうっ滞によって筋肉に十分な酸素や栄養が届かなくなり、筋肉のけいれんが起こりやすくなります。こむら返りは激しい痛みを伴い、睡眠を妨げる原因にもなります。

健康な人でも激しい運動後に経験することがありますが、下肢静脈瘤では頻繁に起こるのが特徴です。

下肢静脈瘤を放置するとどうなるのか?

下肢静脈瘤は良性の病気であり、急に悪化したり命に関わることはありません。

しかし、自然に治ることもまれで、放置すると症状が進行する可能性があります。

皮膚の色素沈着と硬化

長期間にわたって血液のうっ滞が続くと、足の下部が茶褐色に変色したり、皮膚が硬くなったりします。

これは「うっ滞性皮膚炎」や「皮膚脂肪硬化症」と呼ばれる状態で、皮膚潰瘍の前段階ともなりえます。特にくるぶし周辺に色素沈着が目立つことが多く、見た目の問題だけでなく皮膚の健康状態が悪化しているサインです。

皮膚潰瘍(静脈性潰瘍)の発生

さらに進行すると、皮膚に傷ができやすくなり、その傷が治りにくくなる「静脈性潰瘍」が発生することがあります。

血液循環が悪いため、皮膚に十分な栄養が届かず、小さな傷でも潰瘍に進行しやすくなります。治癒には数ヶ月かかることもあり、生活の質を大きく低下させます。

ただし、静脈性潰瘍で足を切断しなければならないケースは基本的にありません。足の切断が必要になるのは、主に重症の糖尿病や閉塞性動脈硬化症などの動脈性疾患です。

静脈瘤からの出血リスク

拡張した静脈が傷ついたり破れたりすると、出血することがあります。

静脈血は圧迫すれば止まりますが、静脈瘤の中に溜まった血液が一気に出てくるため、勢いよく出血する場合もあります。特に皮膚が薄くなっている部分では注意が必要です。

生活の質(QOL)の低下

痛み・だるさ・むくみ・こむら返りなどの症状が慢性的に続くと、日常生活に大きな支障をきたします。

立ち仕事や歩行が辛くなったり、夜間の睡眠が妨げられたり、外出や運動を控えるようになったりと、生活全体の質が低下していきます。見た目の問題も含めて、精神的なストレスにつながることもあります。

下肢静脈瘤の診断と治療について

下肢静脈瘤の診断は、問診・視触診・超音波検査から始まります。

超音波検査では、弁不全や逆流の範囲・程度を詳しく評価し、原因となる静脈(大伏在静脈、小伏在静脈、側枝、骨盤内など)を特定します。原因血管を見逃すと再発につながるため、解剖学的評価に基づく治療計画が重要です。

処置室

当院で行う主な治療法

血管内焼灼術(高周波/レーザー)は、皮膚切開が最小限で日帰り可能な治療法です。保険適用であり、術後の痛みや皮下出血が少ないのが利点です。ただし、蛇行や径の大きい静脈は適応外となる場合があります。

グルー治療は、医療用接着剤で静脈を閉塞させる方法で、焼灼が難しい症例に選択肢となります。

硬化療法は、クモの巣状や網目状など表在の目立ちに有効です。

瘤切除・高位結紮・ストリッピングは、形態改善や再発抑制を目的に、症例に応じて併用されます。

当院では、患者さんの解剖学的特徴と重症度に合わせて最適な術式を選択し、術後は弾性ストッキングの指導や生活アドバイスを通じて再発リスクに配慮したケアを行っています。

こんな症状があれば早めの受診を

以下のような症状がある場合は、専門医への相談をおすすめします。

  • 足の血管が浮き出る、網目状に透ける、ボコボコする
  • むくみ・だるさ・夜間のこむら返りが増えた
  • 皮膚の色素沈着・湿疹・かゆみ・潰瘍が気になる
  • 産後や立ち仕事で症状が夕方に悪化する

下肢静脈瘤は、早期に治療を開始することで症状の進行を防ぎ、合併症のリスクを減らすことができます。

現代の治療法は低侵襲で、日帰り手術が可能なものが主流です。痛みも少なく、術後の回復も早いのが特徴です。

まとめ~下肢静脈瘤の痛みは放置せず早めの対処を

下肢静脈瘤による痛みには、重苦しい痛み・ひりひりする痛み・痒みと痛みの組み合わせ・血栓性静脈炎による強い痛み・こむら返りによる痛みという5つの主な原因があります。

放置すると、皮膚の色素沈着・硬化・潰瘍・出血などのリスクが高まり、生活の質が大きく低下する可能性があります。

ただし、下肢静脈瘤は良性の病気であり、適切な治療を受ければ根治することができます。脳梗塞や心筋梗塞の直接的な原因になることはまれで、足を切断しなければならないケースも基本的にありません。

足の症状が気になる方は、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。

当院では、IVR専門医が診察から治療・術後ケアまで一貫して担当し、患者さん一人ひとりに最適な治療法をご提案しています。JR大阪駅・阪神福島駅・大阪メトロ西梅田駅から徒歩圏内という好立地で、平日18:00まで、土曜午前も診療しています。24時間Web予約にも対応していますので、お気軽にご相談ください。

【著者】

西梅田 静脈瘤・痛みのクリニック 院長 小田 晃義

【略歴】

現在は大阪・西梅田にて「西梅田 静脈瘤・痛みのクリニック」の院長を務める。

下肢静脈瘤の日帰りレーザー手術・グルー治療(血管内塞栓術)・カテーテル治療、再発予防指導を得意とし、

患者様一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイド医療を提供している。

早期診断・早期治療”を軸に、「足のだるさ・むくみ・痛み」の原因を根本から改善することを目的とした診療方針を掲げ、静脈瘤だけでなく神経障害性疼痛・慢性腰痛・坐骨神経痛にも対応している。

【所属学会・資格】

日本医学放射線学会読影専門医、認定医

日本IVR学会専門医

日本脈管学会専門医

下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医、実施医

マンモグラフィー読影認定医

本記事は、日々の臨床現場での経験と、医学的根拠に基づいた情報をもとに監修・執筆しています。

インターネットには誤解を招く情報も多くありますが、当院では医学的エビデンスに基づいた正確で信頼性のある情報提供を重視しています。

特に下肢静脈瘤や慢性疼痛は、自己判断では悪化を招くケースも多いため、正しい知識を広く伝えることを使命と考えています。