コラム

2026.01.16

足にあざのような変色が出るのはなぜ?下肢静脈瘤との関係を解説

「最近、足に茶色っぽい変色が出てきた」「あざのようなものが消えない」…こんな症状に心当たりはありませんか?

ぶつけた覚えもないのに、足の皮膚が変色してくると不安になりますよね。

実は、足の変色は「下肢静脈瘤」という血管の病気のサインかもしれません。

下肢静脈瘤は、日本人の約10人に1人が抱える身近な病気です。放置すると症状が進行し、皮膚炎や潰瘍といった深刻な状態に至ることもあります。

この記事では、放射線科・IVR(カテーテル治療の専門医として、足の変色と下肢静脈瘤の関係について詳しく解説します。早期発見・早期治療が、健康な足を取り戻す鍵となります。

足にあざのような変色が出る原因とは

足の皮膚に現れるあざのような変色には、いくつかの原因があります。

まず理解しておきたいのは、あざの色の違いです。

あざの色が示す意味

あざの色は、内出血が起きている深さと、受傷してからの経過時間によって変化します。

青紫色・赤色は受傷直後に現れる色です。青紫色は細胞組織の深い部分で、赤色は浅い部分で起きた内出血を示します。この時期は触ると痛みを感じることが多いため、なるべく触れないようにしましょう。

緑色・黄色は、受傷から数日経過し、組織内に溜まった血液が流れていく状態で現れる色です。この段階でも症状によっては痛みを感じる場合があります。

加齢による皮膚の変化

中高年になると、加齢によって皮膚や血管が弱くなります。

ほんの少しのダメージで毛細血管が障害され、出血してあざが現れることがあります。これを「老人性紫斑」といい、手や腕に限定されていることが特徴です。検査異常もなく、治療の必要もありません。

また、20代~40代女性に多いのは「単純性紫斑」です。外傷など刺激がないのに、四肢、特に下腿に点状出血やあざが現れます。基礎疾患や検査異常がない場合は治療は必要ありません。

慢性的な足の変色に注意

下肢の皮膚に慢性的に繰り返し現れ、かゆみを伴うことがあるあざは要注意です。

広範囲に広がることもあるこのあざは、中高年に多い「慢性色素性紫斑」というものです。原因は不明ですが、微小循環障害や血管壁の弱さが関係している場合があります。

歯周病や虫歯・慢性副鼻腔炎・扁桃炎などがあり、炎症性物質が血流を介して移動しておこる場合や、薬剤性も考えられています。

下肢静脈瘤が引き起こす足の変色

足の変色の中でも、特に注意が必要なのが「下肢静脈瘤」によるものです。

下肢静脈瘤とは何か

下肢静脈瘤は、足の静脈にある逆流防止の「弁」が壊れることで、血液が心臓へ戻れずに足に溜まってしまう病気です。

血管が拡張し、皮膚表面にボコボコと浮き出る見た目の異常だけでなく、足のだるさ・むくみ・痛み・こむら返りなどの不快な症状も伴います。

日本人では約10人に1人が下肢静脈瘤に罹患していると言われており、年齢とともに発症率が高くなる傾向にあります。特に長時間の立ち仕事をされている方や、中高年の女性では発症率が高くなります。

静脈瘤が進行すると起きる皮膚の変化

静脈瘤が進行すると、血流が滞り、皮膚の代謝が落ちます。

古い角質が溜まり、全体的にくすんだ印象になります。さらに、毛細血管が破れやすくなり、血液中の鉄分(ヘモジデリン)が皮膚に沈着して、茶色~黒色の色素沈着が起きます。

一見「日焼けかな?」「加齢かな?」と見過ごしがちですが、実は体の中で起きている血液の循環障害が原因です。

うっ滞性皮膚炎の進行

うっ滞性皮膚炎とは、静脈の血流障害によって足の皮膚に炎症が起きる病気です。

初期には赤み・かゆみがあり、進行すると黒ずみ・皮膚の硬化・痛みへとつながります。この状態を「皮膚脂肪硬化」と呼び、さらに悪化すると皮膚が破れて「潰瘍(かいよう)」となることもあります。

一度潰瘍ができると治療に数か月から年単位で時間がかかることも少なくありません。

下肢静脈瘤は良性で命に関わる病気ではありませんが、自然に治癒することはありません。症状としては、足のむくみやだるさなどの他に、皮膚がかゆくなる、こむらがえり、皮膚が茶色く変色していく等があります。

下肢静脈瘤の初期症状を見逃さない

下肢静脈瘤は、血管がボコボコ浮き出る前にも症状があります。

見た目ではわからない時期がある

実は、「血管がボコボコ浮き出てきた」という症状は、静脈瘤がかなり進行してから現われる末期症状です。

末期症状になる前の初期症状の段階ではボコボコしたコブはなく、むくみやだるさといった不快さを感じています。その状態から、何十年もかけてゆっくりと進行してようやく見た目でもわかるコブになるのです。

潜在的に下肢静脈瘤の症状で悩まされている患者さんは、30歳を超えると2人に1人と言われています。また、出産経験のある女性の2人に1人が下肢静脈瘤を発症すると言われています。

初期症状のチェックポイント

以下のような症状がある方は、下肢静脈瘤の可能性があります。

  • 足のむくみ…特にふくらはぎの内側や足首の後ろ側に目立つ
  • 足のだるさ…夕方になると症状が強くなる
  • 足がつる(こむら返り)…夜中に起こることが多い
  • 足のほてり…熱く感じる
  • 足のかゆみ…皮膚炎を伴うこともある

これらの症状だけでも、自分の足に起こっている状態をイメージすると不快感があり解消したくなりますよね。

「足のむくみ」、「足の痛み・重だるさ」、「足がつる」といった症状は、疲れると誰でも起こると思いがちなので、なかなかこれが病気からくるものだとは思いません。

下肢静脈瘤になりやすい人の特徴

下肢静脈瘤は、特定の条件下で発症しやすくなります。

遺伝的要因

下肢静脈瘤には遺伝性があります。

両親とも下肢静脈瘤の場合には、将来的にはその子供も90%発症するというデータもあります。家族に静脈瘤の方がいる場合は、特に注意が必要です。

妊娠・出産の影響

妊娠時にはホルモンの影響により静脈が柔らかくなって弁が壊れやすくなるため、発症しやすくなります。

出産経験のある女性の約半数が発症するというデータもあり、女性にとって身近な病気と言えます。

立ち仕事との関係

立ち仕事、特に1ヶ所に立ってあまり動かない仕事(調理師・美容師・販売員など)は発症しやすい傾向にあります。

特に1日10時間以上立っている人は重症化しやすいため、注意が必要です。また、肥満や便秘なども下肢静脈瘤を悪化させる因子です。

出典一般社団法人下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会「健康な足のために、下肢静脈瘤という病気についてきちんと知る」より作成

足の変色を予防・改善する方法

足の変色や下肢静脈瘤の症状を予防・改善するには、日常生活での工夫が大切です。

ふくらはぎを動かす運動

ウォーキングや足首の上下運動は血流を促進し、静脈瘤や皮膚炎の予防になります。

ふくらはぎの筋肉を使うことで、筋肉が収縮して、ポンプのように静脈内の血液を心臓へと送ります。日常的にふくらはぎを動かす習慣をつけましょう。

長時間の同一姿勢を避ける

立ちっぱなし・座りっぱなしは静脈に負担をかけます。

こまめに足を動かし、血流を促進することが大切です。デスクワークの方は、1時間に1回は立ち上がって歩くようにしましょう。

弾性ストッキングの活用

医師の指導のもと、適切な圧力の着圧ソックスを使うことで血流を助け、症状の進行を抑えることができます。

弾性ストッキングを着用し、下肢を圧迫して圧力をかけることで、足の静脈に滞留している静脈のうっ滞を軽減します。ドラッグストアなどで市販されているむくみ予防のストッキングと医療用の弾性ストッキングの違いとしては、医療用のものは、十分な圧があり、また、足先から段階的に圧力がかかるように設計されており、症状の悪化を防ぐ点において優れています。

肌のうるおいを保つ

加齢に伴い、細胞が減少して代謝機能・免疫細胞が衰えるため、真皮・表皮の厚みが薄くなることがあります。

保湿クリームやボディクリームなどでケアし、肌のうるおいと弾力を保つようにしましょう。

専門医による診断と治療

足の変色や下肢静脈瘤の症状がある場合は、専門医の診察を受けることが大切です。

超音波検査による精密診断

当院では、血管診療に精通した医師が超音波検査で「どの血管に逆流があるか」「どの程度進行しているか」を正確に評価します。

足の静脈は皮膚の下に隠れており、見た目だけでは診断できません。正確な診断が、良質な治療の第一歩です。

身体への負担が少ない日帰り治療

症状・血管の状態に応じて、最適な治療法をご提案します。

高周波/レーザー治療(血管内焼灼術)は、皮膚を大きく切らず、血管の内側から静脈を閉鎖します。日帰りで可能です。

硬化療法は、薬剤を注入し、クモの巣状・網目状静脈瘤にも対応します。

圧迫療法(弾性ストッキング)は、軽度〜中等度の症状に用い、治療後の再発予防にも使用します。

患者さまの年齢・仕事・生活環境も考慮し、過不足のない最適な治療をご提案いたします。

グルー治療は、医療用接着剤で静脈を閉塞させる方法で、焼灼が難しい症例の選択肢となります。

生活習慣まで含めた再発予防

血管の病気には、立ち仕事・冷え・姿勢・運動不足など日常生活の影響が少なくありません。

当院では治療後、足の血流を良くする運動、姿勢や歩き方のアドバイス、弾性ストッキングの適切な使い方などを丁寧にお伝えし、再発しにくい足の環境づくりをサポートします。

まとめ:早期発見・早期治療が大切

足にあざのような変色が出る原因は様々ですが、慢性的な変色や、むくみ・だるさを伴う場合は、下肢静脈瘤の可能性があります。

下肢静脈瘤は進行性の疾患であり、放置すると症状が悪化し、皮膚炎や潰瘍といった深刻な状態に至ることもあります。

しかし、早期に発見し適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。

以下のような症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

  • 足のだるさ・重さ
  • 夕方に悪化するむくみ
  • 夜中のこむら返り
  • 血管がボコボコ浮き出る
  • クモの巣状の細かい血管が気になる
  • 足がかゆい・色が黒ずむ

これらは下肢静脈瘤の典型的なサインです。早期の受診が治療効果を高め、生活の質の改善につながります。

西梅田静脈瘤・痛みのクリニックでは、放射線科・循環器内科の専門性を活かし、患者さまの負担が少ない安全な治療を提供しています。

健康な足で過ごせる日常を取り戻すために、ぜひ一度ご相談ください。

足のむくみ・だるさ・血管の浮きなど、一見「よくある症状」と思われがちなトラブルの背景には、静脈の逆流や血流低下が隠れていることがあります。

専門医のもとで適切に診断・治療すれば、足の軽さが戻り、こむら返りの改善、見た目の悩み解消、むくみの軽減など、生活の快適さが大きく変わります。

症状が軽いうちの受診が、治療効果を高めるポイントです。お気軽にご相談ください。

【著者】

西梅田 静脈瘤・痛みのクリニック 院長 小田 晃義

【略歴】

現在は大阪・西梅田にて「西梅田 静脈瘤・痛みのクリニック」の院長を務める。

下肢静脈瘤の日帰りレーザー手術・グルー治療(血管内塞栓術)・カテーテル治療、再発予防指導を得意とし、

患者様一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイド医療を提供している。

早期診断・早期治療”を軸に、「足のだるさ・むくみ・痛み」の原因を根本から改善することを目的とした診療方針を掲げ、静脈瘤だけでなく神経障害性疼痛・慢性腰痛・坐骨神経痛にも対応している。

【所属学会・資格】

日本医学放射線学会読影専門医、認定医

日本IVR学会専門医

日本脈管学会専門医

下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医、実施医

マンモグラフィー読影認定医

本記事は、日々の臨床現場での経験と、医学的根拠に基づいた情報をもとに監修・執筆しています。

インターネットには誤解を招く情報も多くありますが、当院では医学的エビデンスに基づいた正確で信頼性のある情報提供を重視しています。

特に下肢静脈瘤や慢性疼痛は、自己判断では悪化を招くケースも多いため、正しい知識を広く伝えることを使命と考えています。